SERVICE

1 伐採 −価値を繋ぐ− LOGGING

皐月屋は、たくさんの木は伐りません。それは、私たち世代だけが潤えばいいのではなく、次世代にも山や木の価値をきちんと繋いでいきたいからです。
智頭町には、江戸時代に植林された樹齢400年の「慶長杉」をはじめ、山には150年級の大木が点在し、伝統的に「多間伐・長伐期」で立派な木を育てる文化があります。木は一般的には50年ほどで建築材として市場価値が出ますが、もっと大きく育てればそれだけ価値が高まっていきます。私たちは、枝や根の張り具合を見て、これからさらに立派に育つ木を残し、今が伐るタイミングと判断した木から間伐し、市場に出しています。
私たちがこうして木を伐らせてもらっているのも、多くの人の手によって山が受け継がれてきたからこそ。受けた恩を次に繋ぐのが「恩送り」。これが智頭林業に携わる者として、自分たちが大切にしている精神です。

2 作業道整備 −山を守る− Work road maintenance

皐月屋は、無理な作業道は作りません。私たちは山の麓でその恵みを受けて育ってきました。だからこそ、美しく、環境に優しい山を守りたいと思っているからです。
時代とともに林業のやり方も変わり、20~30年前からは山に作業道を作り、重機を入れて木材を搬出するようになりました。近年では全国的に戦後に植林された木を大量に伐る流れがあります。木が伐りやすく、たくさんの量を運べるよう大きな作業道を作ることが増えてきていますが、これは山への負担が大きく、山崩れの原因になります。
私たちが作業道づくりで心がけていることは、伐採の作業効率で考えず、その道が山の安全性を損なわないかということです。小型重機が通るに十分な道幅2.5m以下で、傾斜のきつくない「棚」と呼ばれる部分に道をつくることで山への負担を最小限に抑えます。山のことを第一に考え、棚と棚を結ぶ路線設計で作る道はとても美しい曲線を描きます。

3 製材加工・販売 −良質な木を届ける− Lumber processing and sales

皐月屋は、扱う木に手を抜きません。直接山から木を伐り出している私たちだからこそ、良質な木材を探しておられるお客様の声に応えられることがあると思っています。
林業を通じて多くの人に山への関心を持ってもらいたいと思い、木材市場以外で私たちの木を手にしていただけるように製材機を導入しました。最長8mの木材製品まで加工が可能に。大工職人のこだわりに応えられる強度の木材を提供でき、また店舗や住宅用に用途に応じた一枚板を作り出すことができます。
秋から春の間、木は成長を止めるため水分をあまり吸わず、伐るのに最適な「伐り旬」を迎えます。私たちはできるだけその時期に伐採し、伐った木は枝葉をつけたままじっくり3カ月は山に寝かしておく「葉枯らし」をします。これは天然乾燥でじっくりと水分を抜くためです。水分が残る木は乾いてから収縮など変形するため、乾燥させることが大切ですが、乾燥機で急速に乾かすと木の油分まで抜けてしまいます。木の持つ力や良さを最大限に生かすため、伐る時期選びから製材の処理に至るまで、丁寧に木を扱っています。

4 薪の販売 −資源を循環させる− Firewood

皐月屋は、資源を無駄にしません。私たちは伐採の時に残る木の根元を「タンコロ」と呼んでいますが、このタンコロも無駄にせず、薪にして暮らしに還元することで資源を循環させています。
山に放置されがちなタンコロを搬出し、薪にすることで利点がたくさんあります。昔ながらの薪風呂にも使えたり、雪の多いこの地域にとって欠かせない薪ストーブにも使えたり、人々の暮らしを支えてくれます。タンコロが放置されない山はさらに美しい山となって自然環境に良く、さらに薪が収入源になることで林業家はより丁寧に山仕事に向き合え、現場の雇用機会も増やすことにもつながります。
私たちの手が届く範囲で、私たちのなりわいから供給できるものが、また誰かの暮らしにも役立つこと。小さな活動かもしれませんが、美しい智頭の山からこの循環を育んでいきたいと思い、日々活動しています。